Extra Report 21_01.

『G30シリーズ、ついに登場!その1(G30ドライバー)』

【ついに発表、G30ドライバー!!】

ようやく来ましたね…。
2012年マスターズ制覇(G20ドライバー)、
そして2014年マスターズ制覇(G25ドライバー)と抜群の実績
を誇るGシリーズ。
その最新モデル、
G30ドライバーがついに発表されました。
ちなみにオーダー受付開始は8月20日からとなっておりますので、
先行公開したこの特集ページを見ながらぜひ身悶えしてください(笑)。

ちなみにこのG30ドライバー、ピンのプレイヤーテストによると
(もちろん個人差はあるものの)
平均ヘッドスピードが約0.3m/s速くなるそうです(!)。
球が上がりやすかったりスピン量が少なかったり、ではなく、『ヘッドスピードそのものが上がるドライバー』というのはあまり聞いたことがないですね。
一体どんなヘッドなのか、検証していきたいと思います。




【航空力学を応用した『タービュレーター』】

さて、まずはG30ドライバーのヘッド形状ですが…

G30ドライバーを上から見た図
この『タービュレーター』、本来は飛行機の主翼などに使用される機構です。
あえて翼の表面に乱流を起こすことで翼に空気をまとわりつかせ、
飛行を安定させる、揚力(浮き上がる力)を高めるといった効果をもたらします※1
わかりやすく言ってしまうと、空気抵抗を極限まで減らすことでヘッドスピードを上げる助けをしている
わけです。




【タービュレーターのもたらす効果とは?】

しかし、
『ヘッドにあんな出っ張りがある方がスイングの邪魔になるんじゃ…?』
と考える方も多いのではないでしょうか。

そこで、スイング中の空気の流れや、
タービュレーターの効果について簡単に説明させて頂こうと思います。
通常のドライバーに空気が絡み付いている図
まずこちらが「タービュレーター無しの場合の空気の絡みつき具合」です。
ヘッド後方と下方に空気が絡み付いてないのがお分かりいただけるでしょうか。
もう少しわかりやすく、図にしてみましょう。
タービュレーターが付いていないドライバーはヘッド後方に大きな真空の層が発生し、結果的に空気抵抗が大きくなってヘッドスピードが出にくくなっている。
この「真空の空間にヘッドが吸い込まれる動き」というのが、
いわゆる「空気抵抗」というやつの正体ですね。※2

さて、次はG30ドライバーの「空気の絡みつき具合」を見てみましょう。
G30ドライバーのヘッドに空気が絡み付いている図
ご覧の通り、ヘッドの下方、後方にもしっかり空気が絡みついていますね
これも図にしてみましょう。
G30ドライバーにはタービュレーターがついているためヘッド後方に真空の層が発生しずらく、結果的に空気抵抗が小さくなっている。
いかがでしょうか。
「タービュレーター」はヘッド後方にできる真空の層を小さくすることで、
空気抵抗を減らしてヘッドスピードを高めている
わけです。

実は既に、同じ理論がゴルフボールでは大昔から採用されています。
そう、ディンプルの存在です。
ゴルフボールは表面にわざと凹凸(ディンプル)を設けることで、
ボール後方に生じる真空の層を小さくして空気抵抗を抑えて
います。

逆に、打たれたらすぐに球速を落とさないと成り立たないようなスポーツ、
例えば「卓球」などは球の表面がツルツルになっていますね。
そのくらい、高速移動する物体表面の凸凹は速度に大きな影響を与えるのです。




【ではどの程度飛距離に影響があるのか?】

タービュレーターの理屈がわかったところで、
次はこの改良がどの程度数値面に影響を及ぼすのか見てみましょう。
100人のプレイヤーを対象に、G25ドライバーとG30ドライバーでどちらのヘッドスピードが速くなるかを調査
このグラフはピンUSAが100人のプレイヤーを対象
G25ドライバーとG30ドライバーを打ってもらった結果をまとめたものですが、
タービュレーターの装着により
平均でヘッドスピードが0.3m/sアップ。平均で飛距離が2.5ヤードアップ。最大1.4m/sまでヘッドスピードアップ可能
という効果が得られることがわかりました。
ちなみに上のグラフはマイル表示(mph=mile per hour)なのでご注意ください。
アメリカ本社調べなのでこのような表記になっているようです。

しかし…シャフトのチョイスにもよると思いますが、
「ヘッドスピードが1.4m/sも増加したらゴルフが変わるよ!」
という方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

ヘッドとシャフトの組み合わせがより重要になってくれれば、
フィッティングの重要性も更に増しますし当店としてもやりがいがありますね。




【フェースの素材変更で深重心・低重心化】

またG30ドライバーはフェース素材に前作より強靭でありながら比重の軽い、
T9Sチタンを採用しています。

フェースの反発力(反発係数)はルールで上限が決められているので、
これ以上強くできない(当然どのメーカーも上限一杯に設計してます)のですが…
G30ドライバーを正面から見た図
素材を変えたり、場所によってフェースの厚みを変えることで重量を浮かせ、
浮いた重量をヘッド各所に再配分してより易しいクラブに設計することは可能です。

資料によればG30ドライバーはG25ドライバーに比べフェースが約4グラム軽くなり、
その結果
重心深度が約6%深くなり、重心の高さが約2%低くなっている
とのことです。

ちなみに重心深度と重心の高さが打球にもたらす効果は…
重心深度と重心高に関する説明
ご覧の通り。

タービュレーターの採用が「最大飛距離を伸ばすための工夫」なら、
深重心化・低重心化は「距離と方向のバラつきを抑えるための工夫」

といった感じでしょうか。

ピンのクラブは一点集中で改良するのではなく、
一つの改良に合わせて様々な場所を総合的に改良していくんですよね。
その分どうしても紹介する事柄が増えてしまいますが、何卒ご了承ください。

ちなみにゴルフの数値に詳しい方のためにMOIの数値をお披露目しますと、
横方向の慣性モーメントは5326、縦方向の慣性モーメントは3682
となります(上記はピンの資料の参考数値です)。
G25ドライバーと比較して約23%安定しているとのことでした。




【スライサーやシニア・女性向けに『SF Tec』ヘッドもラインナップ】

またG30ドライバーにはもう1種類ヘッドがラインナップされています。
重心距離が通常のG30より10%短く2.5度のフックフェース(フェースが2.5度左を向いている)そして軽いスイングウェイト
といった特徴を持つ、
「SF Tec」ヘッドです。
SF Tecヘッド。
これは完全に「スライスを抑える」ために設計されたヘッドで、
スライサーの方を対象にしたG25ドライバーとの比較テストでは、
SF Tecヘッドの方が平均5〜8ヤード左に飛ぶ(G25ドライバーに比べて)』
というテスト結果が得られています。

またSF TecヘッドはG25と同ロフトでも打ち出しが低く、スピン量も少なめ。
それでいて初速とヘッドスピードはG25ドライバーより上昇しています
ので、
単純にドローボールでランを稼ぎ少しでも飛距離を伸ばしたい、
というシニアや女性の方にもお勧めできるヘッドのようです。

ちなみに「SF Tec」とは「Straight Flight Technology」の略で、
元々は「K15ドライバー」で採用された「スライス防止機能」の総称です。




【より詳細にロフト調節できるようになりました!】

またG30ドライバーでは、
ロフト調節ポジションが従来の3箇所(±0.5度)から5箇所(±1.0度)に増えています。
「ロフトの選択肢が増える」=「フィッティングで精密に最適スペックを調べられる」
ということですから我々としては願ったり叶ったりの仕様変更です。

ちなみにロフトは4種類(9度、10.5度、10度/SF Tec、12度/SF Tec)ですが、
ロフト調節機能のお陰で8.5度〜14度まで約0.5度刻みで対応可能になります。

そしてフィッティングといえば大事なのはシャフト選びですが…




【5種類の標準シャフトでどんなユーザーにも対応!】

G30ドライバーでは5種類の個性が異なる標準シャフトを用意して対応しています。
TFC 390、Tour 65、NEW ATTAS、LT 50、Regio Formula
このうち既出のシャフトは「LT 50」だけで、
その他は全てG30ドライバーで初採用されたシャフトになりますね。


TFC 390シャフト画像
『TFC 390』
重心の位置が通常のシャフトより60mmほど手元側に配置されています。
前作でも採用されていた「ハイバランスポイントシャフト」ですね。
重心位置が手元側にあるおかげで、
205gを超える重たいヘッドでも軽々と振ることができるようになっています。
ちなみに標準長さが45.75インチなのはこのシャフトのみ。


Tour 65シャフト画像
『Tour 65』
ネーミングからもお分かりの通り、
標準長さが『TFC 390』より半インチ短いハード目のシャフト。
同フレックスでも『TFC 390』よりは弾道が低くなります。
スピン量もそれに伴って少なくなるので、吹け上がる方に有効ですね。


NEW ATTASシャフト画像
『NEW ATTAS』
現時点で名称やデザインが不明ですが、
ピンの資料によると『TFC 390』よりは弾道が低いにも関わらず、
『TFC 390』よりも柔らかい振り心地のシャフトになっているようです。
(上記画像はATTAS 5 GoGoのものです)


LT 50シャフト画像
『LT 50』
よくしなる先調子系の日本/アジア地域オリジナルシャフトで、
ヘッドスピードが遅めの方や球が右にいきやすい方にお勧め。
球が上がりやすいので女性やシニアの方にも扱いやすいシャフトです。
ちなみにこのシャフトはG30ドライバーの「SF Tec」標準シャフトです。


Regio Formulaシャフト画像
『Regio Formula』
手元側と先端部の剛性を高めることで中間部をしっかりしなるようにした、
日本シャフト社製のオリジナルカーボンシャフト。
シャフトがねじれにくくヘッドのブレが少ない設計。
上がりやすさを重視するならLT50、
ややパワーのある方はRegio Formulaといった感じでしょうか。
このシャフトもLT 50と同様に「SF Tec」の標準シャフトです。


これにプラスして様々なカスタムシャフトがあるわけですから、
G30ドライバーのフィッティングはかなり楽しめるものになりそうですね。




【まとめてみると…】

G30ドライバーに関する情報は概ねこのくらいですが、
その他にも、

『ソール・ルーバー』
…ソールの一部を長方形に抉って打球音を調整・低重心化。

『新CTPソール』
…装着できるソールウェイトの重量は4g〜17.5g。
詳細不明だがスイングウェイトを希望の値に調整可能にする機能か?

『前作より薄いフェース』
…センターで約7%、周辺で約10%薄くなっている。

『5Lグリップ』
…グリップエンド側は硬く、先端にゆくに従い柔らかい質感。

といった情報が入ってきています。


また『SF Tec』ヘッドですが、
2010年〜2013年のフィッティング傾向を数値化してみたところ、
4割〜5割の方にフェード傾向がある
ことも開発の要因になっているようです。

また2010年に発表したK15ドライバーが多くのスライサーに対して
好評だったこともあってか、今回はずばり「フックフェース」と銘打ってきましたね。

もちろんただフェースを左に向けるだけでなく、
重心距離を短くしたりスイングウェイトを軽くするなど、
シニアの方や女性にも気軽に扱えるクラブになっているようです。

当店としても「スライスに有効」と言い切れるドライバーが出てくれるのは、
非常に嬉しく思っています。K15が無くなった時は社長共々「何故!?」と
憤慨したくらいですから…。

それにしても、G30ドライバーはその独特の外観といい、
「ピンらしいクラブ、久々に来たね〜」
といった印象です。

タービュレーターのように、効果があるならとりあえず試してみる、というのも、
非常にピンらしくて好感が持てます。試打クラブが来るのが今から楽しみですよ。
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