Travel to Arizona 06.

『ゴルフショップオカムラのピンUSA本社取材旅行記 その6』

【煮えたぎるステンレスを流し込む、迫力満点の鋳造シーン!】
鋳造設備があるのは隣の建物とのことなので、徒歩でそちらへと向かいます。
ちなみに「隣」といってもお互いの建物の距離は100メートル以上!
この辺のスケール感が日本とアメリカではやっぱり違いますね(^_^;)。

そして何故か道の両脇にはこーんな…


フクロウが何羽もおりまして、我々のことを興味深そうに眺めていました。
ゴルフクラブの工場にフクロウというのがミスマッチで面白かったのか、
皆さんこぞってカメラを持ち出していましたね。

更にこの道の途中には我々の目を引くものが色々とあり…

i3 O-Sizeアイアン #5※1のヘッドや…

i5アイアン UW のヘッドがゴロゴロと。
上に挟んである紙にはロットナンバーや番手などのスペックが記載されていました。

管理人はこのサイトを作っている人間ですから、
ピンが今でも販売終了したアイアンのヘッドを生産しており、
紛失番手や追加番手の発注に応えてくれることを知っています。

ですが、実際に昔のモデルが作られているのを目にすると、
(うまく表現できませんが)何ともいえない喜びというか安心感を覚えました。
ピンは何十年もこういったことを続けてきたわけですよ。本当に実直な企業だと思います。

そんな感慨深い気持ちになりながら進んでいくと、建物の奥に炎が見えてきました!
あの建物で鋳型にステンレスを流し込む工程を行うようです。

建物に近づいていくと凄い熱気!!
聞いてみるとここにはステンレスを溶かす「るつぼ」だけでなく、
先ほど作った鋳型を高温で熱するためのオーブンもあるとのこと。

これがそのオーブン。中では…


ご覧の通り、先ほど作られた鋳型※2が炎で熱せられていました。
こうして鋳型の方も高温にしておかないと、ステンレスを流し入れた時に
鋳型がひび割れたりして危険なのだそうです。

そしてこちらはステンレスを溶かすための「るつぼ」。
中のステンレスは2000度近い高温とのこと…!熱すぎて近寄れません!

溶かす前のステンレスの延べ棒も見せてくれました。
アップにしてみると…

こんな感じ。表面はザラザラしていて気泡のような跡がありますね。

ちなみに材料となるステンレスは定期的にサンプルを取っているそうです。
ピンのアイアンは全てシリアルナンバーで管理されていますから、
サンプルがあるとトラブルが起きた際に原因を突き止めやすいのかもしれませんね。

では、我々もるつぼの中を覗いてみましょう。



中ではドロドロに溶けたステンレスが煮えたぎり、凄い熱気を放っています。
噂ではこの工程に携わる方の給料が最も高いらしい※3のですが、
るつぼの中を覗いているとそれも当然だなと思わざるを得ませんでした。

ステンレスが完全に溶けたのを確認したら、
巨大なロボットアームを使って鋳型に流し込んでいきます。

アームの先端に耐熱バケツを装着してステンレスをドロドロッ。
るつぼを傾けて入れるわけですが、凄い勢いで火花が飛び散っていました。

続いてオーブンから鋳型を取り出します。
当然触ることなどできないので、大型のヤットコのようなものを使っていました。

鋳型を台の上に並べて、溶けたステンレスを流し込んでいきます。
流し込み終わったら粉状の薬剤(?)をかけて火花の飛び散りをシャットアウト。

この工程を繰り返し、最終的にはこれだけの数の鋳型にステンレスを流し込みます。
時間にすればあっという間ですが、見ている方としてはとても長く感じましたね。
最後のステンレスが流し込まれた瞬間はつい「フーッ」とため息。

その後も休むことなく、次の鋳造に向けて延べ棒を放り込んでゆきます。
この工程を一日中続けるわけですから、本当にハードな仕事だと思います。

今回のツアーに参加されているのは雑誌社の方やショップの方が中心。
当然ゴルフクラブは嫌というほど見ている方々なのですが、
このように迫力ある製造工程を見るのは初めてだったようです。
熱気に押されながらも、大変興味深そうに鋳造の様子を見守っていました。

ここで作られたヘッドは常温で冷却され、完全に固まってから鋳型を粉砕するそうです。
その後で中に入っているツリー状のアイアンヘッドを取り出すとのことでした。

このページの上の方で旧モデルの写真を紹介しましたが、
あれは完全に冷却が完了した後のヘッドだったわけですね。

それにしても非常に迫力のある工程でした。
次はヘッド製造の要となる分離・研磨・熱処理の工程です。

先ほど見た表面ザラザラで無骨な印象のアイアンヘッドが、
研磨や熱処理の工程を経て一体どのように変わっていくのでしょうか?




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